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 利用者の“こえ”第1段に登場していだたくのは、トコウさんです。
 製パン事業に携わって約5年!そんなトコウさんの担当は、パン作りの最終工程であるオーブン。生地を2次発酵させ、必要に応じてトッピングし、オーブンの温度・時間を設定する役割です。
 オーブンの担当は、トコウさん1人。ここまでオーブンを扱えれるくらいの腕前を持つ利用者は、他の施設でもいない!と言うくらいだそうです!

 そんなトコウさんの趣味はサッカー。小学校2年生からサッカーを始め、クラブチームにも所属し、今は秦野精華園のサッカーチームに所属しています。ポジションはMF、背番号は11番。東海大学のサッカーサークルと試合をすることもあるそうです。
 「中村俊輔選手のフリーキックは芸術だから、是非盗みたいですね!」と、前歯を見せて笑います。

 そんなトコウさんに、私、まこが色々とお話を伺ってみました。


 「失敗するときもあるけれど、今はパン作りが楽しい!」
と、笑顔で話してくれているトコウさんですが、最初パンを作ると聞いたときは、目が点になったそうです。

「最初は、『えっ?』って感じでした。でも、やっていくうちに、徐々に出来るようになって楽しくなりました。」

 最初の戸惑いは、『出来るのか?』ではなく、『何故パンなんだろう?』というものだったと、はにかみながら振り返ります。トコウさんは、当初クリーニング事業を希望していました。しかし、配属先が希望と違っていたことから、はじめはモチベーションが上がらなかったそうです。

 トコウさんは秦野精華園の寮で、他の利用者と一緒に仲良く生活しています。時には口喧嘩もあるそうですが、それも含めて楽しいそうです。その一方で、「今の目標は一人暮らしをすること」と話してくれました。

 しかし、生きていくには必要不可欠なもの、それも一人暮らしとなると余計に必要なものがあります。そう、お金です。

 「以前に比べ、給与が上がったことが嬉しいです。今は9万円くらいです。だから頑張ろうって思えます。」


 パン作りを始めてから良かった点を尋ねてみたところ、

「仕事に集中しているので、考えたことがないな・・・」

との返事が返ってきました。それでも、やはり自分たちの作ったパンを買っていくお客さんを見ると、とても嬉しい!と言います。

 「みんな美味しい!って言ってくれます。中には具の量等に対してアドバイスをくれる人もいます。美味しいパンを作れば、食べている人も、作る自分たちも嬉しい気持ちになることが出来ます。美味しくないパンを『美味しい』と言われても、嬉しくないから。だから、美味しいパンが作りたいです。」

 そんなポリシーを持つトコウさん達が作るパンは、評判上々です。しかし、商売ですから全てがうまくいく訳ではありません。時にはたくさん売れ残ってしまうこともあります。

 「やっぱり、自分のパンがたくさん帰ってくると残念です。」と、トコウさん。
 たくさん作るので、それに見合う分だけ売れていると思うだそうです。しかし、現実とのギャップに心を痛めることもしばしば・・・。


 パン作りに関する楽しいことも辛いことも含め、トコウさんは次のように夢を語ってくれました。

「今はパンを作りのが楽しいです。このまま続けていって、いつかパン職人になりたいですね。そして将来的にはお店も出したいです。そのために必要なものは・・・“努力”」


 パン作りを始めてかて何か変ったことはあるか尋ねたところ、「特にないですね。」と即答されました。「生活にハリが出た等の変化もない」との事でした。

 しかし、私はこのインタビューを通して、製パン事業は確実にトコウさんの人生影響を与えていると感じました。

 施設利用者の平均給与と障害者自立支援法に伴う負担額のバランスが問題となり、それを打開するために始められた秦野精華園・製パン事業での就労継続支援A型ですが、それによってトコウさんは「パン職人になる!」という、
「お金では買えない夢」を手に入れたようです。

 最後に・・・
 皆さんにとって、「お金では買えない夢」とは何でしょうか?このトコウさんのお話を通して、皆さんにも「お金では買えない夢」を見付けることが出来たらいいな!と思います。

まこ(パンdeラポール)
text by Mako

※写真はすべて秦野精華園、施設利用者ご本人様から承諾を得た上で掲載しております。

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