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コラム記事

アルコールがウイルスに効くのはなぜ?

 今現在、新型コロナウイルスの感染者が急増しており、100人以上の感染者が出ている県が増えている。感染予防のため、コンビニエンスストアや飲食店では、カウンターにガードパネルが設置されたり、入店・出店時にアルコール消毒を行うなどの感染防止対策が行われている。ではここで、一つ質問です。皆さんは何故アルコール消毒がウイルス除菌に有効なのか知っていますか?
 アルコール消毒はアルコールは生体膜を透過する性質を持ち、水溶液中の濃度によって異なる作用が働きます。中濃度(40%)以上では両親媒性(水と油、双方になじむ性質)を持ち、タンパク質を変成させる生理作用が起きます。細菌は一つの細胞で出来ている単細胞生物です。下図のように、アルコールによってタンパク質で構成されている細胞壁・膜が変性されて穴が開き、そこから細胞内物質が漏れ出て細菌は死滅します。

 しかし、高濃度になると、タンパク質の構造水に脱水作用が生じる。それによって細胞膜に浸透圧(半透膜を隔てて溶媒と溶液を置き、溶媒の一部が膜を透過して溶液側に移動するときに両液間生じる圧力差)による外圧が加わり、滅菌作用が減弱してしまいます。そのため、アルコール消毒は両親媒性を持った状態でないと効果的ではなくなってしまいます。一方、私達人間は多細胞生物であり、手をアルコール消毒しても表面細胞が変性するだけで、再生機能が働くので問題ありません。

浸透圧

 したがって、アルコール消毒はウイルス除菌に対して非常に有効なのです。生物は身体の構成の違いで化学物質からの影響は違ってきます。普段何気なくやっているアルコール除菌も、細菌にとって非常に脅威だということがわかったと思います。これを機にこまめな手洗いや除菌を心掛ける習慣を身につけたいですね。